バイクジムカーナ選手が書く!ライテク向上術

某シード選手がライテクを伝えていくブログ

怖いと思ったら止める

こんにちはムーです。



今回はバイクと恐怖心について書きます。


「バイクはスリリングな乗り物さ・・恐怖を克服し支配下に置き楽しむのがバイク乗りってやつさ・・・」


と私も昔は痛い厨二病を患ってましたが


恐怖心を感じたら無理をするのは止めましょう。



はっきり言ってバイクは危ないです。



使い方を間違えたらの話ですがね。


私自身もジムカーナを始めるの若い頃は峠を攻めてました。ろくなテクニックも無いのにGPレーサーを形だけ意識した不格好なハングオフとかやってる痛い痛い奴でしたね。




恐怖は気持ちが弱いから!


気合いだ!根性だ!勇気だ!





とバイクを力ずくでねじ伏せようとしてました。

それで何度か転倒しています。今生きてるのは単に運が良かっただけでしょう。



実は恐怖心というのは「これ以上は無理」という けっこう正確な限界センサーだったりします。


恐怖心を感じる時点で何処かに原因が存在します。

・自分の技量を越える乗り方
・バイクに負担をかける乗り方
・タイヤに負担をかける乗り方
・タイヤの溝が無いor硬化してる
・サスペンションが壊れている
・路面温度が低い


原因は様々ですがライダーとバイク、もしくは両方にエラーが出ていて限界を本能が知らせているのです。



しかも恐怖心というものは、運動能力や脳が指令した神経伝達を大きく阻害します。

自分はこうしたい!と思う意思と
防御本能が拮抗して体がメチャメチャな動きになります。


リラックスしなければいけない肩に力が入り、腕も腰もガチガチに緊張する。



そんな状態で限界に近いバイクをコントロールできるでしょうか?




限界の先にあるものは転倒


公道で恐怖に打ち勝つのは、あまりにもリスクが大きすぎるのです。




と、ここまでが一般ライダー論です。







ではジムカーナ選手としてはどうでしょうか?





ジムカーナは速度域が遅いとはいえ恐怖心は発生します。


私の場合はですが恐怖心を感じたら徹底的に恐怖心と向き合い原因を探ります。


タイヤ?
温まってない?
サスペンション抜けてる?
無理なセッティング?


車体側にエラーがあるならば対処します。


次に人間側エラーを探します。

体が温まってない?
久しぶりすぎて慣れてない?
そもそも技量の限界を超えている?



練習でタイムの壁にぶつかり、それ以上先に踏み込もうとして挙動が乱れる、限界!
意地になってアドレナリン全開で走り込みます。


ただし、その場の気合いで縮むタイムは最後のあと一押しのコンマ数秒になります。競技としてはコンマ数秒は大きいですが公道ではどうでしょう?

もちろん転倒します。



タイヤの限界を超えてスライド→恐怖に体が固まってしまい何もできないまま転倒
わざとスライドの練習して恐怖感ギリギリのところで立て直す練習します。
一朝一夕ではマスターできません。


もちろん転倒します。





そう転倒するのです、してしまうのです。 だがそれはジムカーナ練習での転倒は公道とは比較にならないほど安全だからです。



公道では転倒すれば死亡事故、一発廃車も珍しくありません。
スリップダウンで数十m滑走していき狭い道幅の峠では 対向車線からガードレールへGO
ガードレールにぶつかり飛び越えて谷底にまっ逆さま。



ジムカーナの場合、速度域が低く2~3mの滑走。パイロンコースの場合周囲にパイロン以外の障害物も無い。
車体も人間も頑丈なガードを装備していて怪我もマシン損傷も少ない。



私は最初の一年で数百回は転倒したかもしれませんが、大きな怪我は無く擦り傷程度で済んでます。

骨折などは、まれに聞きますがジムカーナでの死亡事故は過去も現在も一度も聞いたことありません。



公道でこれだけ転倒したら確実に死んでます。


ジムカーナの場合は極めて小さいリスクで限界を探ったり、雨で攻めて恐怖感と戦ったりできます。



私は公道でもバイクに乗りますが、普通に走っていて、ありえないタイミングで信号無視の自転車が飛び出してきて


急ブレーキ、前後タイヤロック、車体斜めに向けてカウンターステア当てながらアクセルターン気味に回避したことがあります。

タイヤが滑り出した時も冷静に対処してぶつかるのを回避するまで運転放棄はしませんでした。



スライドからの立て直しは日常茶飯事だからです。いざというとき頭で考える余地はありません体に染み付いた技術が勝手に発動します。





ジムカーナはバイクは安全ではありません。
しかし訓練を積むことで公道走行で大きな余裕を生み出し安全に直結すると身をもって体感してます。


公道では無理なくバイクライフを楽しみましょう。